定年京都移住2-58_平家物語
5月のNHK100分de名著は再放送の「平家物語」、ワキ方能楽師の安田登氏が解説し自ら朗読する。
能楽とは能と狂言の総称で、主役のシテ方、相手方で面を付けないワキ方、囃子方、狂言方により演じられる。
能には琵琶法師の紡ぐ平家物語の演目が八十曲以上あるが、ともに人の霊を鎮魂する芸能だという。
目次は ①光と闇の物語 ②奢れる者久しからず ③衰亡の方程式 ④死者が語るもの となる。
光は天皇を中心とする貴族階級、闇は蔑まれた武家世界、と位置付け、闇の平家が武力と財力を背景に光の社会で栄華を極めるが、奢る平家はやがて闇の力を失い壇ノ浦で滅びる。
都から平家を放逐した信濃の木曾義仲もまた傲慢に振る舞い、従兄弟の源頼朝の追討軍、範頼と義経に討伐される。
平家物語は運命の言葉を定着させた書といわれる。
中国の詩文集、文選の李康「運命論」には三つの側面があり、運は大きな流れ、命は持って生まれた天命、時は流れゆく一瞬を捕まえる力だという。
定年京都移住2-57_長岡京
桓武天皇は平安京に都を開く十年前、784年に平城京から長岡京に遷都した。
不勉強で経緯を知らなかったが、日本史図録の位置図では、長岡京と平安京の内裏は直線で約10kmと近い。
僅か十年で同じ山背国の乙訓郡から葛野郡に再遷都した理由は、怨霊への恐怖と相次ぐ河川の氾濫だったという。
天皇の権力を強化するため、仏教寺院が強い大和国から都を移したが、旧勢力により腹心の長岡京造宮使が暗殺される。
首謀の大伴氏一族と連座して皇太子早良親王も粛清され、その怨霊による祟りが都を襲ったとするものだ。
恐れた天皇は再遷都した後に、慰霊のため早良親王を崇道天皇と追贈し、奈良に崇道天皇社を、京都上高野に崇道神社を創建、ご祭神として祀った。
怨霊伝説は多くあり、菅原道真、平将門、崇徳天皇を日本三大怨霊というが、それぞれ北野天満宮、神田明神、白峯神宮などで手厚く祀られる。
怨霊の怨みを鎮め御霊とすることで、祟りを免れ守護神になる、という御霊信仰だ。
定年京都移住2-56_日本史図録
ステイホームで時間があるとき、山川出版社の詳説日本史図録を眺めた。
教材とはいえ、絵図や写真が370頁もあって税込946円とお安い。
中学、高校と日本史に興味が無く、殆ど勉強していないので知識も断片的だが、図録はそれらを繋ぎ合わせてくれる。
1年前に奈良県明日香村を訪れた際、古墳時代や飛鳥時代の知識不足がよく分かった。
少しでも予習してから飛鳥宮跡周辺の遺跡、古墳、寺院を巡れれば、と後悔しきりだ。
近くの石神遺跡と水落遺跡など存在を知らずに見逃したスポットも多い。
巻頭特集の一つに「邪馬台国の有力候補地?」がある。
近年の研究では、3世紀前半の築造と推定される桜井市北部の纒向石塚古墳や箸墓古墳、ホケノ山古墳などの纒向遺跡を「倭」の中心地とする説が有力らしい。
この古墳群は奈良から畝傍方面に向かうJR桜井線(万葉まほろば線)の巻向駅周辺に広がり、三輪山裾野の「山の辺の道」や大神神社にも近いので、合わせて訪ねたい。
定年京都移住2-55_超訳般若心経
三笠書房知的生きかた文庫の境野勝悟著「超訳 般若心経 すべての悩みが小さく見えてくる」を読んだ。
般若心経は262文字、その要点は前文の「観自在菩薩」から「土一切苦厄」までの25字にあるという。
特に「照見五蘊(ごうん)皆空」、超訳では「頭の中に記憶された善と悪の考えは、もとは一切なかったんだ、と空っぽにすることができる」とある。
般若心経練習帳の訳をみると「認識の五蘊は空だとさとり、一切の苦を除きました」となる。
「五蘊」とは、色、受、想、行、識の五つの蘊(悩みのタネ)のこと、「皆空」は、その悩みはどれも仮に生じた夢まぼろし、という意味だ。
般若心経で一番多い文字は「無色無受想行識」などの「無」で19字ある。
一切無であることを思い出すため、最上の真言、マントラを唱える。
ギャテイ ギャテイ ハラギャテイ (さとりの岸辺を目指し、そこに往きし者よ)ハラソウギャテイ ボジソワカ(仏の国のさとりの岸辺に到達した者よ、皆に幸あれ)
定年京都移住2-54_超訳菜根譚
三笠書房知的生きかた文庫の境野勝悟著「超訳 菜根譚 人生はけっして難しくない」を読んだ。
著者は栄光学園で長く国語科の教鞭を取った。
菜根譚の菜は野菜、根は大根、譚はお話のこと、中国明代末期に洪自誠が儒教、道教、仏教の教えを融合してまとめた処世訓、生き方の極意と紹介する。
ポジティブに捉える、欲を持たずに生きる、など生活に即した教えだ。
朴魯なるにしかず(ふつうの良さを大切にする)、勢利紛華(名誉や豪奢)には近づかず、直にして矯に過ぎず(度をこさない)、剛腸(冷静さ)を動かすことなかれ、偶会する所(たまたまの出会い)便ち佳境を成す、道眼を以って(天地万物から)観れば種々是れ常なり、人生澹泊(シンプル)を識る、大地も尽く逍遥に属す(悠々と散歩する)、逆に来たれば順に受く(逆境にあれば幸せと受け取る)、万物も皆吾が一体なり、此の身は再びは得られず、蝸牛(カタツムリ)の角上に何事をか争う、など意識したい。
定年京都移住2-53_超訳自助論
学研の辻秀一著「自分を敬え。超訳・自助論」を読んだ。
著者は1961年生まれのスポーツドクター、慶応病院スポーツ医学研究センターを経て独立、メンタルセミナーを開催し著書も多い。
本書は1858年英国のサミュエル・スマイルズが著した「Self Help(自助論)」のエッセンスを編訳したものだ。
自助論は明治初期に「西国立志編」の邦題で出版され、「学問のすゝめ」などとベストセラーになった。
有名な格言「Heaven helps those who help themselves.(天は自ら助くる者を助く)」の出典元だ。
著者は自分に自信を持ちづらい現代こそ、古典のメッセージが大切だという。
意志の力が人生をつくる、言行一致こそ信頼の証、人格こそが財産、快活さが自分も周囲も動かす、善良さが人生の豊かさをもたらす、断固たる決意を持つ、今この瞬間に集中する、よき習慣で人生は変わる、時間厳守は最高位の礼儀、など肝に銘じたい。
定年京都移住2-52_ゆらころん
道具に頼ってはいけない、と思うものの、ついテレビショッピングで「ゆらころん」と「ゆらこ」をセットで買ってしまった。
お腹引き締め腹筋サポートグッズ、という謳い文句で、前者は小さい座椅子に座って前後に揺らす、後者は小さい座布団の上に寝て腰を左右に揺らすものだ。
どちらもテレビを見ながらゆらゆらするだけで腹筋が鍛えられる、という優れもので、休日にただ寝転がっている怠け者にもってこい、のはずだ。
ウチには結婚した娘が置いていった「レッグマジックX」という、CMで草笛光子さんが楽しそうに両脚を左右にスライドさせる器具がある。
80歳をとうに過ぎたお婆ちゃんにできるのだからと甘くみると太ももが結構キツい。
他にも昨年トランポリンを購入したが、ジャンプしているうち気分が悪くなり折り畳んでしまった。
踏み台ステッパーや、乗馬のように跨ってぐわんぐわん揺れるロデオボーイなる物が以前家にあったことを思い出した。
今回こそ効果を実感したい。