定年京都移住2-58_平家物語
5月のNHK100分de名著は再放送の「平家物語」、ワキ方能楽師の安田登氏が解説し自ら朗読する。
能楽とは能と狂言の総称で、主役のシテ方、相手方で面を付けないワキ方、囃子方、狂言方により演じられる。
能には琵琶法師の紡ぐ平家物語の演目が八十曲以上あるが、ともに人の霊を鎮魂する芸能だという。
目次は ①光と闇の物語 ②奢れる者久しからず ③衰亡の方程式 ④死者が語るもの となる。
光は天皇を中心とする貴族階級、闇は蔑まれた武家世界、と位置付け、闇の平家が武力と財力を背景に光の社会で栄華を極めるが、奢る平家はやがて闇の力を失い壇ノ浦で滅びる。
都から平家を放逐した信濃の木曾義仲もまた傲慢に振る舞い、従兄弟の源頼朝の追討軍、範頼と義経に討伐される。
平家物語は運命の言葉を定着させた書といわれる。
中国の詩文集、文選の李康「運命論」には三つの側面があり、運は大きな流れ、命は持って生まれた天命、時は流れゆく一瞬を捕まえる力だという。