定年京都移住3-86_私とは何か
講談社現代新書 平野啓一郎著「私とは何か『個人』から『分人』へ」を読んだ。
著者は今年46歳、初版は9年前になる。
楠木新著「定年後の居場所」のなかで、本書が大いに参考になったと紹介されていた。
目次は ①「本当の自分」はどこにあるか ②分人とは何か ③自分と他者を見つめ直す ④愛すること・死ぬこと ⑤分断を超えて となる。
帯に「生きるのが楽になる〈分人主義〉のススメ」とある。
唯一無二の「本当の自分」など存在せず、対人関係ごとに見せる複数の顔が、すべて「本当の自分」である。
その複数の顔をそれぞれ「分人」とすると、個性は「分人」の構成比率で決まり、決して生まれつき生涯不変のものではない。
著者はこの考え方により、他者に対する見方が変わったそうだ。
「分人」は他者との相互作用によって生じる人格なので、私たちの人格そのものが、半分は他者のお陰であると理解し、感謝や謙虚さが芽生えるという。