定年京都移住3-31_悲しみの秘儀
3月のNHK100分de名著「災害を考える」の若松英輔氏の言葉が心に残り、著書「悲しみの秘儀」を読んだ。
2015年日本経済新聞夕刊に連載されたエッセイをナナロク社が鮮やかな装丁で書籍化した。
著者は1968年糸魚川市生まれ、慶大仏文科を卒業し、2013年から「三田文學」編集長を務めた。
猛烈サラリーマンの経験もあり、12年間の会社勤めではスピード昇格と大降格を味わったそうだ。
2010年に妻を癌で喪い、悲しみに押しつぶされそうになった経験から、「人生には悲しみを通じてしか開かない扉がある。悲しむ者は、新しい生の幕開けに立ち会っているのかもしれない。」という。
「悲しみとは絶望に同伴するものではなく、それでもなお生きようとする勇気と希望の証しであるように感じる。悲しみは、自己と他者の心姿を見通す眼鏡のようにも感じる。悲しみを通じてしか見えてこないものが、この世には存在する。」と励ます。