定年京都移住1-52_京都の壁
養老孟司さんの著書「京都の壁」は面白かった。
16年前の大ベストセラー「バカの壁」以来、壁シリーズ含め著作を読み、出演番組があれば楽しく拝見した。
組織に長くいると、思考の固定化、ウチの常識、が知らぬ間に付着しバカになっていく。
歳を取ると人の言うことを聞かなくなるので、気を付けねばと思う。
この本は、新書大賞を受賞した井上章一著「京都ぎらい」と異なり、関東人のニュートラルな視点に立っている。
京都のことを好きでも嫌いでもない著者は、基本的に「あるものはしょうがないだろう」と考える。
ただ京料理や和菓子の美しさを絶賛し、そぞろ歩きが楽しい、都会では貴重な街だと認め、お金だけでない価値観がある、と評する。
京都は長い時代を経て「鴨川の水のように、世の中は諸行無常である」ことを体験してきた人の街で、世の移り変わりを忘れないのが京都人の本質、とある。
そして京都の壁は、今も色濃く残るゲマインシャフト、地域共同体の壁だと締め括る。