定年京都移住2-79_最後の授業
7月のNHKBS「最後の授業」に立命館APU学長の出口治明氏が登場した。
この番組を見るのは昨年2月のみうらじゅんと物理学者の村上斉氏以来になる。
著書「還暦からの底力」と重なるところもあるが、若者への期待の言葉が多かった。
自分は偶然の出来事、出会いに適応して人生を送ってきたが、偶然でもその話しに乗ってみようという気持ちがあったから、思いもよらないベンチャー企業の立ち上げや大学の学長を経験することができた。
9割以上の人が自分のやりたいことを見つけられないというが、人間は諦めからモチベーションが生まれるので、まずイエスと言うことが大事だと説く。
3年頑張ればある程度その道のプロになれるので、人生100年、若者は何度でもチャレンジできる。
死生観の質問には「星のカケラから生まれて星のカケラに戻るだけ」と答えた。
著書にも「人間の本質は脳にあって魂の存在はない思う」とあり、やはりファクトとロジックを重視する方だと理解した。
定年京都移住2-78_養老先生
7月にNHKBSで「まいにち養老先生、ときどき まる 〜めぐる春」を見た。
2003年に「バカの壁」を著した解剖学者の養老孟司氏も今年83歳、生まれてから鎌倉に住む。
ご自宅は自然豊かな扇ヶ谷の山合いにあり坂道と階段を上る。
「この坂いつまで登れるかね」とステッキを突く姿と、鎌倉駅西口のカフェロンディーノで、煙草を吸いながら砂糖2杯入れたコーヒーを飲み、カスタードプリンまで食されて少し心配になる。
飼い猫のまるは18歳、太っていて日中ほぼ昼寝のご様子、先生が相好を崩して見守る平和なひと時だ。
墓の雰囲気が好きで近くの東慶寺を散策する。
死体の解剖を長くやってきたので、死は常に二人称、自分の死はない。
いつどういうふうに死ぬかわからないのに不安がっても仕方のないことで、ある日突然死んでも驚くに当たらないと言う。
30年前の著書「唯脳論」では、人間の心や意識、社会や文明も脳の機能であり産物である、と説く。
定年京都移住2-77_ハマスタ観戦
10日前に横浜スタジアムで広島戦ナイターを観戦した。
今シーズンは神宮球場でベイスターズ戦を観たが、ホームゲームは初めてだ。
上限5千席でなかなかチケットが取れないため、ヤクルトもDeNAもファンクラブ会費を一部返還するらしい。
野球に限らないが、スタジアムを埋め尽くす日は戻ってくるのだろうか。
オリンピックに向けた増築工事も終わったばかりで、球団経営が心配になる。
ハマスタは入場制限で外野席とウイング席をクローズしたので、内外野全てのエリアを使う神宮の方が席間隔はゆったりしていた。
それでも感染対策を十分施し、ホームグラウンドで応援できるのは嬉しい。
筒香が抜けたあと4番キャプテンを担う佐野恵太は、倉敷ビガーズ、広陵高、明治大出身で、カープのエース野村祐輔と全く同じ経歴だ。
13年前の夏の甲子園決勝、野村が小林誠司とバッテリーを組み4点リードした8回裏、県立佐賀北高の副島選手にまさかの逆転満塁ホームランを浴びた試合を思い出す。
定年京都移住2-76_藤井二冠
10日前の王位戦第四局で、藤井聡太棋聖は木村一基王位をストレートで破り、18歳1ヶ月の最年少記録で二冠達成と八段昇格を決めた。
これで棋界8大タイトルを渡辺明名人・棋王・王将、豊島将之竜王、永瀬拓矢叡王・王座と藤井棋聖・王位が分け合う4強時代になった。
順に36、30、28、18歳と若く、オジさんに厳しい勝負の世界を感じる。
渡辺はタイトル通算26期、7月藤井に棋聖を奪われたが、翌月豊島との名人戦を制した。
竜王戦では藤井を破った丸山忠久九段が、豊島への挑戦権を賭け羽生と三番勝負を戦う。
藤井は羽生の竜王最年少記録、19歳2ヶ月は突破できなかったが、タイトル99期の巨星にどこまで近づけるだろうか。
来月始まる王将リーグ初戦で二人は激突する。
タイトル獲得最年少記録を30年保持した屋敷伸之九段のタイトル数は3期、藤井の長い戦いはこれからだ。
定年京都移住2-75_直木賞
文藝春秋の芥川龍之介賞2作と、文学賞繋がりで直木三十五賞の馳星周著「少年と犬」を続けて読んだ。
前者は高山羽根子著「首里の馬」と遠野遙著「破局」、平野啓一郎氏がラジオ深夜便で、三島由紀夫賞は1作品のため厳しい選考になるが、芥川賞は2作品可なので穏やかに決まったと話していた。
「首里の馬」は奇妙な設定が面白く、また著者がベイスターズ佐野選手の大ファンだそうで好感を持ってしまう。
平野氏は選評で「破局」を絶賛していたが、著者は娘と年齢が近いうえ同じ学校が背景なので、親目線では少し読みづらかった。
馳星周氏は北海道出身の55歳、飼っていたバーニーズマウンテンドッグのため軽井沢に別荘を求め、後に転居したそうだ。
7度目のノミネートで受賞した本作は、悲しい結末のなかに救いがあった。
犬は人という愚かな種のために神が遣わした生き物、人の心を理解し、人に寄り添ってくれる特別な存在で、こんな動物は他にいない、の一文に異議なく同意する。
定年京都移住2-74_芥川賞
NHKラジオ深夜便で、平野啓一郎氏が芥川賞選考委員会の様子を話していた。
受賞作を掲載する文藝春秋9月特別号を購入したが、読み応えがあった。
「コロナサバイバル」やジョン・ボルトンの記事、藤井棋聖に敗れた渡辺二冠のインタビュー、小川洋子さんの新連載「からだの美」など興味深い。
先週豊島二冠から名人位を奪取し、三冠に戻した渡辺に「尋常でない強さ」と言わしめた藤井の潜在能力は計り知れない。
終盤で読みにない手を指されて負けたのは初めてのことで、研究手順が嵌った第3局で一矢報いたものの、それは実力の勝利ではないと言う。
今後は藤井に勝たない限り頂点に立てない、とまで断じたのは驚きだった。
小川さんのエッセイ第1回は「外野手の肩」、野球がお好きなようで、孤独な外野手の描写が面白い。
外野席で間近に観察すると、彼らが寂しさに耐えていたり、ややこしいボールが飛んでこないよう祈っている、訳ではないことがよく分かるそうだ。
定年京都移住2-73_ラジオ深夜便
8月は夏休みを取っても遠出はできず、深夜放送を聴く回数が増えた。
NHK「ラジオ深夜便」8月号を380円で購入し、番組表をチェックする念の入れようだ。
ミッドナイトトーク8, 9月のテーマは「そろそろ旅してみたい」、偶数月は山田邦子、為末大、平野啓一郎、辰巳琢郎、平松愛理が登場する。
深夜便ビギナーズは、森田美由紀アナと藤井隆、後藤繁榮アナと早見優の掛け合いが面白い。
他にも吉田類「酒のある風景」、玉村豊男「晴耕雨読」、柳美里「南相馬便り」、ロバートキャンベル「真夜中の本屋さん」など盛り沢山だ。
中高生の頃もよく深夜放送を聴いた。
0時から「あおいくんとさとうくん」、10分から「かぜ耕士のたむたむたいむ」、30分から「セイ!ヤング」か「コッキーポップ」、1時からは引き続き「セイ!ヤング」か「オールナイトニッポン」、落合恵子や糸居五郎など好きなパーソナリティの日は体調を整えていたことを思い出す。