定年京都移住2-65_ある男
最近は在宅勤務や時差出勤で朝寝坊できるので、中高生以来になるがラジオの深夜放送をよく聞く。
NHKラジオ深夜便は毎日23時05分から6時間、工藤三郎さんや桜井洋子さんなど懐かしい面々がアンカーに揃う。
6月初めに平野啓一郎氏がリモート出演し、京都でバンドとバーテンダーをしていた話しに興味を持った。
1999年京都大学法学部在学中に「日蝕」で芥川賞を受賞、今年から審査員を務めるが、若い人の候補作を読むのは刺激になり、とても楽しみだと言う。
著書を読んだことがなかったので、最新刊の読売文学賞受賞作「ある男」を選んだ。
英訳「 A MAN」も出版され、海外でも話題になっているらしい。
ここ数年小説を読むのが億劫になり、純文学の単行本は久し振りだったが、謎解き的な面白さもあり一気に読み終えた。
家族、夫婦、差別など色々テーマがあるが、普通の生活、普通の幸せの有り難みを改めて感じる。
バーで飲むカクテル、音楽の描写が、ラジオ番組とリンクした。
定年京都移住2-64_カント
6月のNHK100分de名著はカントの「純粋理性批判」、東京医科大学の西研教授が解説する。
1781年出版の同著は、近代哲学の二つの潮流、デカルト、スピノザの大陸合理論とロック、ヒュームのイギリス経験論を統合した書といわれる。
課題としては、①科学が合理的な根拠をもって共有できる根拠 ②なぜ人間の理性は究極真理を求めて底なし沼にはまるのか ③よく生きるとはどういうことか(道徳の根拠)、番組史上最難解ということだ。
テキスト目次は、①近代哲学の二大難問 ②科学の知はなぜ共有できるのか ③宇宙は無限か有限か ④自由と道徳を基礎づける、からなる。
二大難問とは「物心問題」と「主客一致問題」のこと、キーワードの一つにアンチノミー(理性の二律背反)がある。
人間に自由はあるのか、それとも全ては自然の法則で決定されるのか、正反対の主張が同時に証明できるのは、経験を超えた問題に対して理性が混乱に陥るからで、理性で決着することはできないという。
定年京都移住2-63_藤井七段
藤井聡太七段の勢いが止まらない。
6月23日の王位挑戦者決定戦で、棋聖の挑決と同じく永瀬拓矢二冠を下した。
アメバTVで観戦していたが、連敗した永瀬は淡々と10歳下の後輩の強さを認めていた。
ダブルタイトル戦となり、最年少記録にまた一歩近づいたが、もう一つ竜王挑戦の可能性も残っている。
藤井は竜王戦3組決勝で師匠の杉本昌隆八段51歳を破り、本戦トーナメントに進出した。
棋界8大タイトルを分け合う豊島将之竜王名人、渡辺明三冠、永瀬二冠の3強に割って入る勢いだ。
渡辺との初戦を制した棋聖戦第2局は6月28日、王位戦七番勝負は7月1日から始まる。
木村一基王位は、昨年最年長記録となる初タイトルを豊島から奪った47歳、挑戦者と30歳の開きがある。
叩き上げ苦労人と挫折を知らない天才高校生の対決、木村を推したい気持ちと最年少タイトルを達成して欲しい思いが相克するが、どういう結末になるだろうか。
定年京都移住2-62_NPB開幕
コロナの影響で3ヶ月遅れたが、6月19日雨模様のなかNPBが開幕した。
移動時の感染リスクを抑えるため、セリーグは東西での集中開催、パリーグは同一カード6連戦が中心で、スワローズなどは開幕から15試合連続で神宮球場となる。
残念ながら夏の甲子園も中止になってしまい、無観客とはいえテレビ観戦できるのは嬉しい。
在京3チームのファンクラブ会員なので、いつからどの位観客を入れるのか気になるが、7月10日以降まず5千席を上限に、ということらしい。
ジェット風船も無くなるが、そもそも資源の無駄使いで、特に黄色は嫌いだった。
経営的には1試合1億円からの興行収入が消えており、ソフトバンクやDeNAなど本業も芳しくないと聞くので、球団運営が心配になる。
ベイスターズは2011年シーズン後にTBSから経営が移り、1998年以来の優勝を狙えるところまで力を付けてきた。
定年京都移住2-61_渡辺三冠
A級リーグを9戦全勝、豊島将之名人への挑戦権を得た。
次点の広瀬章人八段ですら5勝4敗、断トツの強さだった。
広瀬は33歳、2年前に竜王を獲得し、羽生を27年振りの無冠にした実力者だ。
36歳の渡辺は、20歳にして森内俊之竜王からタイトルを奪取、再び森内が奪還するまで9期防衛した。
圧倒的な強さと風貌から「魔王」と称され、解説などハッキリした物言いが気持ちいい。
豊島は名人と竜王の2大タイトルを持つ30歳、昨年渡辺に棋聖を奪われ雪辱を期す。
6月10日第78期名人戦で両雄は激突し、七番勝負初戦は挑戦者が取った。
渡辺は8日から棋聖戦五番勝負が並行する過密日程だが、相手は注目の藤井聡太七段、4日前の決定戦で27歳の永瀬拓矢二冠(叡王、王座)を破り、最年少タイトル挑戦記録(17歳10ヶ月)を更新した。
中学生プロ棋士の先輩後輩の初戦、こちらも挑戦者が制した。
定年京都移住2-60_将棋チャンネル
先月からケーブルテレビの囲碁将棋チャンネルを観るようになった。
早指し戦もいいが、トップ棋士による短いコマの解説番組が好きだ。
やはり天才達はキャラが濃いので、戦術はよく解らなくても、話しを聞くだけで楽しめる。
佐藤天彦九段は32歳、4年前羽生九段から奪取した名人位を3期守った新世代の旗手だ。
番組名は「美しき角換わり」、例えば「▲7九玉△4二玉5四銀型」について講義する。
オープニングにクラシックが流れ、「将棋界の貴族」と称される風体で、美術品など鑑賞する様子が映る。
これだけで相当面白いが、一転解説の緻密さに驚く。
今時の棋士はスマートな優等生タイプが多く、定石に拘らず、AIソフトで一手一手の有効性を追求する。
王将をしっかり囲ってから攻めに入る昔の手順ではなく、序盤からチャンスがあれば一気に終盤へ、という展開も多い。
定年京都移住2-59_NHK杯
ステイホーム中は将棋番組をよく観た。
NHK杯はトーナメント戦を休止しアーカイブス放送だった。
1988年度の大山康晴15世名人対羽生善治五段は65歳と18歳の対決、解説の森雞二王位は羽生を新人類代表と称し、同じ戌年で二回り違うという。
その将棋連盟会長と新人王の一局は、素人目にも羽生の完勝だった。
もう一つは同年度の加藤一二三九段対羽生、加藤は脂の乗り切った49歳、解説の米長邦雄棋聖は45歳、ともに名人経験者だ。
こちらも羽生が呆気なく勝ってしまい、感想戦で米長が言った「ボーヤ強いね」は印象的だった。
加藤は4年前にスーパールーキー藤井聡太四段のデビュー戦でもプロ初勝利を献上したが、勝敗以上に62歳の年齢差が注目された。
将棋チャンネルでは藤井の奨励会時代の再放送があった。
プロ昇段を決めた西山朋花三段戦を自ら解説したものだ。